はじめに
2023年10月より開始されるインボイス制度。知ってはいても自身の仕事には直接関係ない方、インボイス発行事業者として登録を進めている方、社内のインボイス受け取り窓口として準備を進めている方等、関わり方は様々です。では実際のところ、どのくらいの数だけ、インボイス発行事業者として登録されているのでしょうか。それはどういった事業者が多いのでしょうか。弊社の企業WebデータベースBeegleデータを元に具体的な数字をまとめましたのでご紹介します。
インボイス登録している個人・企業の数
まずは個人・法人それぞれで、全体での登録数を見てみましょう。
2023年4月28日時点で、約300万件の登録があるようです。
Beegleデータから見る、インボイス登録企業の傾向
弊社の企業WebデータベースBeegleデータでは、64万社の公式サイトから収集した企業データを収録しています。Beegleデータで保有する情報と、インボイス登録企業情報を照らし合わせて見てみましょう。
2023年3月時点では、455,970社の法人がインボイス登録番号を保持していました。Beegleデータには法人番号の判明している企業が約53万件ありますが、そのうち85%の企業でインボイス登録が済んでいると言えます。
Beegleデータは、業種や企業規模をはじめとした、各企業の企業属性情報も保持しています。ここからは、様々な企業属性を照らし合わせてインボイス登録企業の割合を見てみましょう。
業種別
それぞれの業種において、Beegleデータ内の企業数と、その内のインボイス登録企業数をまとめました。
インボイス登録率が最も高い業種は「水道(100%)」、次いで「銀行(99.1%)」、「ガス(99.0%)」となっています。94の業種があるうち、4割にあたる38の業種では90%、7割以上の69の業種で80%を超えていて、ほとんどの業種において高い登録率となっています。逆に低い業種は「幼稚園・保育園(18.7%)」が群を抜いていて、次いで「NPO(32.3%)」「介護・福祉(34.6%)」の順となっています。登録率60%を切る業種はわずか7業種でした。
資本金・売上区分別
資本金区分、売上区分別でまとめると、下表のようになります。
「不明」を除くと、資本金、売上ともに最も低い区分でインボイス登録率がやや低い傾向にようですが、大きな差や特徴は見られません。
従業員区分別
企業の従業員規模別でまとめると、下表のようになります。
「不明」を除き、最も少ない「20人未満」が比較的低い登録率のようです。資本金、売上区分別の傾向と連動しているようにも思えます。また従業員規模が大きくなるにつれ、わずかな増加ではありますが登録率も高くなっています。
都道府県別
企業の代表所在地を47の都道府県別でまとめると、下表のようになりました。
最も高い都道府県は「福井県(91.6%)」、次いで「富山県(91.2%)」、「石川県(91.1%)」と北陸3県が並びました。最も低い都道府県は「沖縄県(80.6%)」ですが、次いで「東京都(81.7%)」、「神奈川県(83.4%)」、「千葉県(83.8%)」と関東圏が続いています。ただ全ての都道府県で80%を超えていて、大きな差はないようです。
実は10%も違う!登記所在地と実際の所在地
ところで、企業の所在地情報が必要な際、貴方はどのように調べますか?必要なのは現在の所在地の情報で、該当企業のホームページを見て確認する場合が多いことと思います。この現在の所在地と、国税庁に登記されている所在地とは異なる企業が、実は多くあることをご存じでしょうか?
Beegleデータで保持している、企業ホームページに記載されている現住所と、登記されている住所が異なる企業の数を調べたところ、下表の通りとなりました。
なんと、約10%もの企業が、登記所在地と現在の所在地が異なり、その35%においては市町村も異なるということです。
例えば下記のように、誰もが知っているような代表的な企業でも所在地が異なる場合があります。
所在地が異なることによる、インボイス対応の障害
登記所在地と現在の所在地が異なることで、インボイス受領側に余計な手間がかかってしまいます。
法人番号公表サイトやインボイス事業者公表サイトで取引先のインボイス登録状況や登録番号が確認できますが、いずれも表示されるのは登記所在地です。例えば手元に取引先からの請求書がある場合、そこに記載されている住所と、公表サイトで表示された住所が違うと特定ができませんよね。本当にその企業であっているのか、確認に余計な手間がかかってしまいます。
取引先が少ない、決まっている、人的リソースが十分にあるといった会社であれば、そんな手間がかかっても特に問題ないことと思います。逆に、取引先が多い、頻繁に新規の取引先が増える、インボイスについて一人もしくは数人で対応しなければならないといった会社の場合、全体の10%、即ち取引先の10社に1社はそんな手間がかかると考えると、膨大な無駄に繋がるのではないでしょうか。
簡単・正確に!インボイス情報付与サービス5選
仕入額控除が受けられるかどうかは、インボイス受領側の責任によるものです。取引先がインボイス登録済なのか、登録済であれば正確な登録番号の把握が必須となりますが、取引先の量やリストの状態、人的リソース等様々な要因により、非常に大変な作業となります。スピーディに、適正な情報を手間なく揃えるために、インボイス登録情報を付与するサービスの活用を検討してみてはいかがでしょうか。(2023年5月末時点の調査)
ここからは、5つのサービスをご紹介します。自社の取引先リストの量や状態にとって適切なサービスはどれでしょうか。
HUEインボイス名寄せ(株式会社ワークスアプリケーションズ)
社内の取引先データを解析することで、インボイス登録番号を付与できます。既存システムから出力したcsvのまま解析にかけられるため、加工の必要がありません。処理件数に応じた従量課金は発生せず、200万円/年で使い放題です。無償評価版があるので、購入前に自社データでの精度評価を試すことができます。
CNValu withインボイス(日本ソフト販売株式会社)
預けた取引先データに、法人番号とインボイス登録番号が一括処理で付加されます。同時にデータクレンジング(名寄せ、情報の最新化、不足情報の補完、誤字の訂正等)も可能なため、古いデータやバラバラに管理されたデータでも安心です。建設業許可の取得状況といった各業界向けの属性情報を併せて付加するオプションプランもあります。
【T-check invoice】インボイス事業者 照合システム(株式会社東計電算)
取引先データのExcelファイルをアップロードすると、自動で名寄せとインボイス登録番号の付与が行われ、Excelファイルで出力されます。アメリカ国勢調査局でも使われている高精度な名寄せ照合ロジックを元に、照合した取引先リストと、照合しなかった取引先リストが出力されるため、照合した取引先は既存システムに取り込み、照合しなかった取引先に関してのみ、それぞれ確認を行います。
easy Invoice Check(株式会社トランザック)
取引先データをアップロードすると、インボイス登録番号と共に、国税局に登記されている住所、正式な社名、法人番号が付与されます。アンケート機能により、取引のある個人事業主にも直接確認ができ、その真正性も自動で確認が可能です。一部の機能ですが、10日間無料で利用できるため、本格導入前に試すことができます。
インボイス確認サービス(ネットビジネスサポート株式会社)
一度に確認したい取引先の量や頻度に応じて、3タイプのサービスから選べます。
- ① 大量の取引先データをまとめて一括処理
- ② 業者に依頼するほどではない件数を自身のPCで小まめに確認
- ③ ブラウザの拡張機能で気になったときに1件ずつワンクリックでさくっと確認
また、このサービスの最も特徴的な点は、2つのデータベースを参照していることです。国税庁のインボイス登録データベースだけでなく、独自の企業情報データベースも参照することで、マッチングの精度がより高まります。先述した登記所在地と現在の所在地が異なる場合でも、問題なく社名やインボイス登録情報を特定することができるのです。
10,000円/月~、サービスのタイプや件数に応じた価格設定で、500件の取引先リストでインボイス登録確認を無料で試すことができます。気になる方は、是非一度お試しください。