2014年が日本でのマーケティングオートメーション(MA)元年と言われ、それ以降、海外ツールの参入や国内ベンダーによるサービスリリースが相次ぎました。市場は今後も拡大されると予想されていて、導入済や、今後の導入を検討中の企業も多いことと思います。
では実際に、MAの導入企業はどのくらい増えているのでしょうか。弊社のBeegleデータを元に、直近のMAツール導入企業数を予測してみました。
なぜMA導入企業数がわかるのか
弊社の「企業WebデータベースBeegleデータ」は、インターネット上に公開されている企業のホームページ情報を元にした、約60万社分のデータを収録しています。この数は、国内のホームページを公開している企業をほぼ網羅していると言えます。データは2か月に1度、全件を最新の状態に更新しています。
データ更新時には、各社のホームページをクローリングする必要がありますが、その際、ホームページに設置されている各種のタグも判明します。何のタグがどのくらいの企業ホームページに設置されているかがわかるため、MAツールの導入数及び、ツールごとの導入数が推測できるということです。
ただし、データの元となっているのは、企業ホームページの会社概要のページです。会社情報のホームページと、保有するサービスのホームページを分けている企業も多く、会社のホームページにはMAツールのタグを設置していなくとも、サービスのサイトには設置しているという企業も多いことでしょう。そのため、実際の導入数は、これからご紹介する数値よりも多いと予想されます。
MAツール導入数全体の推移
まずは国内の企業でどのくらいMAツールが導入されているか、全体の推移を見てみましょう。
市場が拡大傾向と言われている通り、導入件数が右肩上がりで伸びていることがわかります。2018年11月には約4,000だった社数が、2021年11月には約8,800と、3年で2倍以上に増えています。ひと月当たりに約130社の企業が新たにMAツールを導入している計算になります。
MAツールの普及が当初は大手企業での導入が中心だったことと思いますが、認知が拡大し、中小企業での導入も進んでいることから、徐々に裾野が広がっていると言えるのではないでしょうか。働き方改革による営業活動の効率化や、昨今のリモートワークの普及による営業活動の見直しなどが追い風となり、今後も増加が続くものと思われます。
海外ベンダー・国内ベンダー別の推移
次に、海外ベンダーのMAツールと国内ベンダーのMAツールでの社数の推移を見てみました。
総じて、国内ベンダーのMAツールの方が、導入数が多いようです。ただ増加割合で見ると、海外ベンダーのMAツールはずっとほぼ一定の割合で増加を続けています。国内ベンダーは2020年5月頃までは増加率が低く、一時は海外ベンダーの導入数が上回っていました。直近1年半くらいは、どちらも同じ割合で増加を続けているようです。
MAツールは元々、日本より10年マーケティングが進んでいると言われるアメリカで生まれたものです。日本での普及も、まずは海外ベンダーのMAツールが先行だったため、導入企業も本格的にマーケティングを行っている企業が中心でした。その後、国内ベンダーによるMAツールも多数登場し、いわゆるマーケティング初心者の企業や中小企業でも取り入れやすいツールが普及したことが、データとして現れているのではないでしょうか。
価格帯別の推移
続いては、最低月額費用別の価格帯ごとに社数の推移を見てみました。
※ 最低価格で使用できる機能や扱えるリード件数、初期費用等はツールごとに異なります。
※ 価格が要問合のツール、参考価格がなかったツール等は省いています。
ほとんどの価格帯で増回傾向にあるものの、増加率の違いが顕著になりました。最低月額料金が最も低い1万円未満の価格帯が最も伸び率が高く、特に2020年5月から跳ね上がっています。次いで、最低月額料金15万円以上という、今回の分類では最も高い価格帯の増加率が高くなりました。緩やかですが、増加率も徐々に高くなってきているようです。
最も低い価格帯のツールが普及しているのは、これから本格的にマーケティングに取り組む企業が、まずは低コストで必要な機能のツールを選択したり、保有する顧客データが比較的多くない企業での導入が進んでいたりといった背景があるのではないでしょうか。最も高い価格帯のMAツールが伸びているのは、先に導入した企業でのマーケティングリテラシーが高まったことにより、より高機能、高価格なツールへの乗り換えも一因ではないかと思われます。いずれもあくまで考察ですが、両極端な興味深い結果となりました。
ツールごとの推移
最後に、ツールごとの導入社数の推移を見てみましょう。社数の多い上位7ツールでまとめました。
ツールG、B、Cがシェアの多くのシェアを占めていて、導入社数の増加率も高い傾向にあるようです。直近半年の間、トップシェアとなっているツールGは2020年5月~7月にかけての増加が著しく、先に見た海外・国内ベンダー別や、価格帯別の推移にも、大きく影響していると言えそうです。ツールB、Cは、他のツールと比較しても高い増加率を維持したまま導入数を伸ばし続けています。
(※ ツールGに関して、抽出する2020年7月の調査にて対象タグを追加しました。そのため、本来の増加よりも、本データの方が急激な増加になっていると予測されます。ご理解の上、ご容赦いただけますと幸いです。)
企業の様々な情報が見えてくるBeegleデータ
今回はBeegleデータからわかる情報として、MAツールの導入社数を詳しく見てみました。このようにBeegleデータでは、社名や住所といった基本的な企業情報だけでなく、様々な情報を付与することができます。例えば、「展示会に出展している」「エンジニアを採用している」といった活動に関するものや、「キャッシュレス決済導入支援」や「人事給与のITシステム業」といった業種区分より詳細な事業分野に関するものなど、抽出したいニーズに沿った企業データを作成できます。これまで以上に細かなターゲティングをした企業リストで、営業活動を効率化しませんか?